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タイ東北の榕樹の森



HP編集略号bodaijyu1.htm

和名: 榕樹(カジュマル)

英語名: Banyan tree タイ語名: トン・サイ
改編:2014年5月26日 初稿:2007年7月8日 撮影:タイ東北・ピマーイ


 ラオスと国境を接するノンカイから、国道2号線と206号線を南南西に向けてピマーイ遺跡に向

かいます。ノンカイを出発して間もなく、空を埋め尽くしていた雨雲が急速に垂れ下がり、ワイパ

ー全速でも追いつかないバケツを引っくり返したような豪雨となりました。


 凄まじい豪雨が止むと、国道の彼方此方で、俄かに警察の検問が始まりました。軍事政権の

早期解散を叫ぶデモ隊が首都に向かうのを阻止する検問のようです。ラジオによると、タクシン

政府時代の借金の帳消しを期待する農民のデモであり、軍事政権により帳消しの機会を失った

農民の勝手な直訴だと突き放しています。


 豪雨と警察の検問に妨げられ、予定よりも2時間ばかり遅れてピマーイ遺跡に到着。ノンカイか

らピマーイまで走行した距離は、336kmになっていました。道路沿いにあった駐車場付きの田舎

ホテルに逗留することにしました。



タイに魅せられてロングステイ
雨あがりのピマーイの町


 僕がこの街を訪れるのは2回目。2人の友は初めての訪問です。

小雨がぱらつく天気なので、ピマーイ遺跡の見学は明朝に延期、夕飯の時間まで、各自好きなように

時間過ごすことにしました。


シャワーを浴びた僕は、区外の美榕樹の森を散策するつもりで、ホテルのロビーに降りると、友人2名

が時間を持て余しています。結局、三人一緒に 美榕樹の森に出かけることと相成りました。


タイに魅せられてロングステイ
ピマーイの 美榕樹の公園  ( タイ名:サイ・ガーム ) 


 ピマーイの宿泊したホテルから北東へ2kmの地点に、タイ語でサイ・ガームと呼ばれる美榕樹

の森があります。大きな幹から傘状に伸びた頑丈そうな無数の枝木と葉が鬱蒼とした森を構成し

て独特の雰囲気を醸し出しています。


美榕樹の大幹から横に伸びる頑丈そうな枝木


 横方向に伸びた枝木から、地面に向かってぶら下がる髭のような気根が美榕樹の森を吹き抜け

る風によって、左右にゆっくりと揺れ動いています。


タイに魅せられてロングステイ
地面に向かって垂れる気根が新たな地下茎となり幹となります


 地面に辿りついた気根の一部は、新根となって地下で逞しく成長し、やがて地上に顔を出して、

長い年月を経て大きな幹になるそうです。


タイに魅せられてロングステイ
垂直に伸びる気根と横に伸びる枝木


 気根から成長した榕樹の幹は、幾つもの枝木を横に伸ばして拡がり、やがて、新しい榕樹の森を

熱帯気候の地上に創出して行きます。


タイに魅せられてロングステイ
神秘的な美榕樹の森


 長い年月を経て大地に繁茂して広がった榕樹の森は、市場の傘の如く、地面に覆い被さるように

して拡がります。 英語名のバンヤン・ツリー ( 意味:インド商人の木 )の起源は、榕樹の森の外

観が屋根付の市場に見えたからなのでしょうね。


タイに魅せられてロングステイ
市場の傘屋根の如く拡がる美榕樹の森


 榕樹 ( トン・サイ )は、今までも何度も見掛けたことがありますが、ピマーイのサイ・ガーム に匹

敵する規模を見たことがありません。トン・サイ(榕樹)の繁茂するサイ・ガームの森の奥まった所

に、この森を生んだ最初の榕樹とされている老いた聖木がありました。


 三色布が巻かれたこの一本の幹の枝木からぶら下がった気根から、美榕樹の森が出来るまで、

350年以上の年数が経過したのですね。


タイに魅せられてロングステイ
聖木として祀られていた美榕樹の森を生んだ最初の1本


 僕は、タイ語呼称のトン・サイを、日本語で『 榕樹 』 として表現しました。多くの日本語書籍は、

タイ語名のトン・サイを、ベンガル菩提樹と翻訳し、タイ語名のトン・ポーを、インド菩提樹と翻訳して

いるものが多いようです。


 《トン・サイの国別呼称》
 タイ名  トン・サイ  意味合い:榕樹
 英名  バンヤン・ツリ−  意味合い:商人の宿  
 日本名   美榕樹、榕樹  −
 沖縄名  カジュマル  −


 タイの精霊信仰では、トン・サイを精霊が宿る平安の木と位置づけています。タイ上座部仏教で

は、釈迦牟尼がトン・サイの下で休息をとられた故事から、トン・サイ(榕樹)を仏教の聖木の一つ

として慈しみ、とても大事にしています。 


 但し、タイ上座部仏教では、釈迦牟礼尼が大吾(悟り)を得られたのは、トン・ポーの幹の下と

信じられていて、トン・サイの下ではありません。


      
       注:トン・ポー(インド菩提樹)、トン・サイ(ベンガル菩提樹)



 尚、 ヒンドゥー教のビシュヌ神は、トン・ポー(インド菩提樹)の傍らで誕生したとされています。

インド仏教や中国から半島経由で伝来した日本の大乗仏教(北伝仏教)は、釈迦牟尼の誕生は

無憂樹(タイ語名:トン・ソーク)の傍らとなっていますね。 タイ上座部仏教では、釈迦牟尼誕生の

傍らの木は、サーラ・ランカーです。タイでは、釈迦牟尼入滅時の傍らの木も、サーラ・ランカーと

されています。



       
注:サーラ・ランカー = スリランカの沙羅の木


余談ですが、日本仏教の聖木である無憂樹(タイ語名:トン・ソーク)は、タイでは、タイ語のソーク

の発音が 『 悲哀 』 に通じることから、不吉な木として、誰もが避けたがる木として扱われていま

す。 


インド北東部で生まれた仏教ですが、その伝道経路によって、釈迦牟尼の生誕・大吾・入滅に

関わる月日も聖木も違うのは、仏教知識の薄い僕のとっては、とても分かりづらいですね。


 初期仏教⇒  原始仏教  インド  -  -
 南伝仏教⇒  上座部仏教  スリランカー  タイ  ラオ、カンボジア
 北伝仏教⇒  大乗仏教  中国大陸  朝鮮半島  日本、その他


 ある人に言わせれば、仏陀と称される御仁は、釈迦牟尼を含めて今までに28人も居らっしゃる

そうですから、きっと、それぞれに関わる逸話などの関連情報が、長い歴史の中でゴチャゴチャ

に入り混じりあってしまった結果なのかもしれませんね。


 明日は、ピマーイの遺跡を見学してから、バンコクに直帰する予定です。





読者の方から頂戴したコメント


hiro-1からのお返しコメント


■こんにちわ〜
今日も勉強になりました。素晴しい解説と写真です。
leahgo 2007-07-08 10:58:16


■leaさん
御覧頂き有り難う御座います。 タイらしい話題が満載のleaさんのBLOG、いつもニヤ・ニヤ・クス・クスしながら楽しんでいます。
 hiro-1 2007-07-09 01:52:29


■ペタありがとう
ベンガル菩提樹 1度 訪ねてみたいですね 聖木に会いたいと思いました
くまの日常 2007-07-09 11:45:57


■くまの日常さん
可愛い子の世話で御多忙とは思いますが、時間の空いた時にでも、 ピマーイの菩提樹を 訪ねてみてください。 日本で見る菩提樹の雰囲気とは違った何かがあります。

hiro-1
 2007-07-10 00:44:14


■ノンカイ
サコンナコンによく行く割には、ノンカイに行ったことがありません。機会があったらラオ観光を含めていってみたいです。ノンカイにヒンドゥー教の聖木があるとは知りませんでした。
katapee 2007-07-09 23:14:29 


■katapeeさん
記事のベンガル菩提樹はピマーイですが、ノンカイでもたくさんのインド菩提樹(トン・ポー)を見ました。サコン・ナコンからノンカイまでは、車で二時間余り(200km)程度なので、是非一度足を延ばしてみて下さい。
hiro-1 2007-07-10 01:01:57

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