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可哀想な名前のニンニクカズラ  



HP編集略号:murasakiyamome1.htm

和名:ムラサキヤモメカズラ

英語名:Bluebird vine タイ名:プアンクラーム
改編:2017年3月13日 初稿:2011年7月28日 撮影:バンコク


 今年の1月頃、バンコク東方向に位置するチョンブリ県の南パタヤにドライブした折に、

緑の茂みの中に房状になった紫色の蔓性の星型植物を見つけました。周りを見渡しても

花名を記した標識もなく、花名を教えて貰う人とてありません。


 この房状の花は、日本に在住していた頃、東京郊外の何処かで見たことがあると思うの

ですが、寄る年波の所為でしょうか、花の名前が如何しても思い浮かびません。

仕方なく、PCの花名不明ファイルに保存してから早7ケ月が過ぎようとしています。



房状になった紫色の蔓性の植物


 昨日、29日出発の欧州旅行の現地格安飛行機の電子チケットの印刷をしながら、

いつものように『 写真集・タイの感動的な花木 』
をパラパラと捲っていると、房状の

五弁花が目に留まりました。





 成熟前の萼の色は黄緑色(上左写真)ですが、成熟すると薄紫(上右写真)になります。
      
葉の表面は紙ヤスリ状なので、サンド・ペーパー・バインの俗称で呼ばれることもあるよう

です。


 タイでは、『プアン・クラーム』 、或いは『チョー・ムアン』と呼ばれています。

『 プアン 』 という言葉は、房状になる植物に冠する言葉であり、『 クラーム 』 は藍色を

意味します。 『 チョー 』 も群生する房状の植物に冠する言葉であり、『 アン 』 は、

紫色を意味するタイ語です。 


 タイ語の花名は、詩語などを流用した凝った名前が少なくないのですが、この花の名前

は、外観をそのまま素直に花名にしているだけでした。


 学名を見ると、Petrea volubilis Linn. (1753年) とあります。『 ペトレア 』 (Petrea)の起源

は、イギリスの植物学後援者のロバート・ジェイムズ・ペトレ(1713-1743) とあります。

volubilis(ウォルビリス)は、“まとわりつく”を意味するラテン語だろうと思いますが、この花

が蔓性の植物であることから付記されたのでしょう。


 学名の Petrea volubilis Linn. で検索すると、日本語名と英語名の情報が出てきました。



   科名=“クマツヅラ科” Verbenaceae、 属名=“ペトレア属” Petrea、 

   和名=“ムラサキヤモメカズラ”、 英語名=“Bluebird vine
”(青い鳥葛)、

   別名=“Purple-wreath”(紫の花冠)、 “Queen's-wreath”(女王の花冠)


 日本名には 『 ヤモメ 』 という名前が付記されているのですが、『 ヤモメ 』 が 『 寡婦 』

なのか それとも『 鰥夫 』なのか分かりません。色っぽい由来話を期待して調べたところ、

逞しい女性の有り様を表現した名前でした。


薄紫色は萼。濃紫色が本当の花です。


 此の植物は、上写真の如く、“本当の花”が咲く前に、本物の花のような薄紫色の萼が

枝木全体に取り付き、暫らくしてから、その萼の上に濃紫色の本当の花が咲くのです。


 大概の花は、萼に包まれた蕾が開花し、散るときは、萼と花弁が一緒に落ちますね。

しかし、此の植物の“本物の花の命”は短くて直ぐに散ってしまい、薄紫色の萼は、その

後も長く命を保ち続け、更に逞しく成長して繁茂します。 


 早世する“本物の花”を主人に喩えるならば、生き残る萼は奥方なりますね。 だとす

れば、ヤモメの漢字は『寡夫』ではなくて、『寡婦』となり、ムラサキヤモメカズラを漢字名

で記すならば、『 紫寡婦葛 』 と書かなければなりませんね。


 逞しい『寡婦』の“ 萼 ”も、やがては散ってしまいます。最終を迎えた『寡婦』の“ 萼 ”

は、まるでヘリコプターの羽根のようにクルクル回りながら、可能な限り広い範囲に種子を

散布する役割責任を果たすのだとか。 旦那亡き後も、なんとも逞しい 『 紫寡婦葛 』 の

花の一生です。



 《 紫寡婦葛の植物上の分類 》
 科名  クマツヅラ科 Verbenaceae 
 属名  ペトレア属 Petrea 
 学名  Petrea volubilis Linn. (1753年)
 和名  ムラサキヤモメカズラ 紫寡婦葛
 英名  Bluebird vine、 Purple-wreath、Queen's-wreath
 タイ語  プアン・クラーム、チョー・ムアン





読者の方から頂戴したコメント


hiro-1からのお返しコメント


■美しい花ですね〜。散り際も美しそうです。旦那様と奥方さまが両方咲き誇った?ときが色の濃淡が出て最も美しいですね。
シャンティcoco 2011-07-28 19:22:21


シャンティcocoさん
言われて気がつきました。確かに、夫婦が揃ったときが一番美しく見えますね!
hiro-1 2011-07-29 00:23:38


■うっとりとするようなきれいな花ですね。 色がすばらしい。 萼の方がとても目立ちます。 花よりも長く生きているのですか。 どちらが主役なのでしょうね。いよいよ出発ですね。 出発前の最後のアップでしょうか。 お気をつけていってらっしゃいませ。
ワイワイ 2011-07-28 21:00:59

■ワイワイさん
主役を立てながらも、しっかり自分の役割を果たす人がいるからこそ社会が成り立つと思うのですが、今の日本はどうなってしまったのでしょうか。主役も不在、それを支える人も不在では、国家滅亡になってしまいそう。
hiro-1 2011-07-29 00:02:50


■名前がわかりました!
こんにちは!HPを拝見していて、コメント欄がないなあと思い、こちらを開いたら記事がいっぱい! すみません、知らないでいました。この花、アーリーのタイ料理屋さんで見ました!でも名前知らないですごしていたんですよ。

ブアサワン、公園のは今咲いていないのですが、クルクマは花壇にいっぱい♪そろそろ終わりそうです。ブアサワンが咲いたらお知らせしますね。
夏のそら 2011-07-28 21:22:52


夏のそらさん
毎回、公園のブログ記事を読みながら想像を逞しくしているのですが、家内は直ぐにでも出かけて花を見たいと言い張ります。その家内も数日前から自分の母親の面倒を見るために日本に帰省中です。
hiro-1 2011-07-29 00:13:37


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