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HP編集略nadeshiko1.htm

和名:カラナデシコ(唐撫子 )

英語名:China pink 中国名:セキチク(石竹)
改編:2016年7月10日 初稿:2009年12月9日 撮影:チェンマイ県


 タイ北部のチェンマイ県を訪れた時、 “ なでしこ ” の花が咲いているのを見つけて吃驚しました。

“ なでしこ ” は、日本のような温帯域に咲く花で、タイでは咲かない花だと勝手に思い込んでいた

のですが・・・・

 20数年ぶりに “ なでしこ ” の花を見て、万葉歌人の山上憶良が詠んだ “ 秋の七草 ”を思い出し

ました。


    萩の花  尾花  葛花  瞿麦の花  女郎花  また 藤袴 朝貌の花

      はぎのはな おばな くずはな なでしこのはな おみなえし また ふじばかま あさがおのはな

      (注) 瞿麦(なでしこ)の花 = 撫子 ( なでしこ ) の花


 とは言っても、万葉時代の瞿麦(ナデシコ)の花が、唐ナデシコだったのかどうか?僕にはよく分かり

ません。


唐撫子 (カラナデシコ)  Dianthus chinensis L.


 吉田兼好の徒然草にもありました。

    
草は山吹、藤、杜若、撫子。池には蓮。秋の草は萩、薄、桔梗、萩、女郎花・・・
   
    いづれもいと高からず、ささやかなる垣にしげからぬよし。



 万葉集の時代から、平安時代、鎌倉時代を通じて、古の日本人に愛された野草の“ 撫子 ”の

仲間 が、タイの花園で健気に咲いているなんて余りにも意外! 嬉しくなってしまいました。


唐撫子 (カラナデシコ)  Dianthus chinensis L.


 “撫子” ( なでしこ ) の本来の意味は、“ 撫でるが如く可愛がっている子 ” だろうと思うのですが、

大友家持と従妹(?)の大友池主が交わした意味深な歌を見ると、互いに “撫子=恋しい人 ” の

意味として詠んでいることが分かります。


     《 大友池主(女性)から大友家持(男性)に宛てた歌 》

     
うら恋し わが背の君は 撫子が 花にもが もな 朝な朝な見む
     
      (
私の恋しいあの方が 撫子の花ならば 毎朝見られるのに)



     《 大友家持(男性)から大友池主(女性)に宛てた歌 》

     
吾が屋外に 蒔きし瞿麦(撫子) 何時しかも 花に咲きなむ なそへつつ見む
      
       (自宅の庭に撒いた撫子の花はいつ咲くのだろうか、貴女と見比べながら見たいな)


唐撫子 (カラナデシコ)  Dianthus chinensis L.


 平安時代前後に、隣国の唐から撫子に似た “石竹” が持ち込まれた時、平安の宮廷人や文化人

は、石竹を唐撫子(カラナデシコ)と呼び、日本原産種を大和撫子(ヤマトナデシコ)と区別化して呼ぶ

ようになった由。 清少納言の枕草子(六四段)にその様子を窺える記述があります。


     
草の花は撫子、唐のはさらなり、大和のも、いとめでたし・・・


 そして、いつ頃からでしょうか、“ 大和撫子 ” という言葉は、愛らしくて清楚で慎ましやかな日本女性

の美祢辞として定着することになります。 それでは、日本原産種の大和撫子(ヤマトナデシコ)とは、

一体どんな花かと思って調べると、どうやら、河原撫子(カワラナデシコ)のことを大和撫子(ヤマトナデ

シコ)と呼ぶようです。 (下欄右写真)


和名:伊勢撫子 和名:河原撫子   別名:大和撫子
上写真2枚は、ウイキペディアより拝借しました。


【上掲 左写真 】 【上掲 右写真 】
学名  Dianthus X isensis 
 Hirahata et Kitam.
学名  Dianthus superbus L.
 var. longicalycinus (Maxim.) Williams
科名  ナデシコ科 科名  ナデシコ科  Caryophyllaceae
属名  ナデシコ属 属名  ナデシコ属  Dianthus
和名  イセナデシコ(伊勢撫子) 和名  カワラナデシコ (河原撫子)
別名  御所撫子、薩摩撫子 別名  ヤマトナデシコ (大和撫子)


上掲左写真:中国原産の石竹(セキチク)と日本原産の河原撫子を交雑させた多年草

上掲右写真:日本の西中国と九州に分布。沖縄の久米島と渡名喜島に少数自生。



唐撫子 (カラナデシコ)  Dianthus chinensis L.


 “大和撫子” なる言葉は、大東亜戦争に敗戦するまでは、日本女性の美祢辞として使われていた

ようですが、敗戦後の時代になると、男尊女卑の最たる表現として死語になったようですね。

 最近の日本の花屋さんの中には、和名の撫子ではなく、外来語のダイアンサスの花名で売る所も

あるやに聞きます。なんだか寂しい気分になってしまいます。


 男女共同参画社会に異を唱える訳ではありませんが、“ 撫子、河原撫子、大和撫子 ” のような

美しい日本の漢字呼称を残して欲しいと思う今日この頃です。


《唐撫子 (カラナデシコ) の植物名分類 》
 科名  なでしこ科  Caryophyllaceae
 亜科   -
 属名  ナデシコ属  Dianthus
 学名  Dianthus chinensis L.  
 種名  D. chinensis  セキチク
 タイ名  ドーク・ピー・スア  ( 蝶々のような花 )
 和名  唐ナデシコ
 中国名  セキチク (石竹)
 英名  china Pink
 原産地  中国
 性状  二年草
 葉の形状が竹の葉に似ていることから石竹の名がある。
 花色   -
 花言葉  純愛、才色兼備、快活、才能





読者の方から頂戴したコメント


hiro-1からのお返しコメント


■花の名前
確かに今の日本で花の名前を覚える事なんて大したことでは無いことのようです。覚えなければいけないことが多すぎて!コスモスも向日葵も漢字が書けない、その以前の問題で花の名前を知らない若者が増えています・マイペンライ 2009-12-09 20:08:00 


■マイペンライさん
現役時代の僕は、花には全く興味がありませんでした。仕事ばかりが頭にあって、そんなことを考える余裕なんてありませんでした。花の名前を知らないのは若者だけではないような気がします。
hiro-1 2009-12-10 02:59:25 

■hiro-1さん、こんにちは。
今迄自粛してたのですが、どーにも我慢できなくなり、書いています。
タイにも撫子があるのですね。私もクラビで日々草に似た花を見つけた時はとってもうれしく感じました。自分の身近な花を期待もしない所で見かけるのは何とも言えない感動がありますね。

ところで、「自粛」してたことですが、先日のピンクのお花は普通は「ふうちょうそう」と言います。我が家の庭にも咲いていました。星野富弘さんの絵にもあったように思います。因みにアトランタで買った種には「クレオメ」と書かれていました。

公園で「クレオメ」と書かれていたとのコメントを読み「じゃあ、てっせんはクレマチスで時計草はパッションフラワーなの?」と思ってたら実際時計草の話題が出てきて、怖くなったのも事実です。

私はHimawariさんのコメントに何か言いたいのではありません。今回のhiro-1さんと同感で「撫子は撫子でしょう?」という気持ちなのです。今迄名前を知らなかった人に名札で教えるのはいいけど、元からあった名前も忘れないようにしてね、と言いたいのです。種類がちょっと違って「西洋〜」になったとしても、元からその花と名前を愛していた人を忘れてほしくないなあ、という気持ちです。

力が入りすぎましたが、今回の「七草」に通じるお話のように、カタカナの「ガーデニング」(西洋すみれは「ビオラ」といいます)だけでなく今迄あった花や名前も大切にしてほしいなあ、という単純な思いだけなんです。okefenokee 2009-12-09 14:46:05


■okefenokeeさん
花に興味の薄かった僕が、タイに来て初めて目覚めたこともあって、先ず最初に知るのはタイ語名、次に英語名、最後に日本語名となってしまいます。

時には、どうしても日本語名が分からずに、読者の方にお訊ねすることも少なくありません。そのような環境にあるのですが、やはり日本語の花名は趣のある名前が多くて大好きですね。
hiro-1 2009-12-10 02:53:43

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