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さ


(サンゴアブラギリ)


HP編集略号:sangoaburagiri1.htm

和名:サンゴアブラギリ

英語名:Australian Bottle Plant タイ名:ハヌマン・ナンテーン
改編:2017年1月17日 初稿:2015年1月17日 撮影:ガムペンペット


 タイ北部ガムペーンペットのターク県境に広がる国立公園(khlongwanjao)内の彼方此方に滝が

あると聞いて車を走らせたのですが・・・既に季節外れらしくて開店休業状態・・・鬱蒼とした森の中に

単独で分け入って滝への小道を辿る気持ちも失せてしまいました。


ガムペーンペットのワンジャオ・国立公園内で保護されていたチークの森


 広大な駐車場をチーク材の森が取り巻いています。タイ国内のチーク材は、乱伐で殆ど絶えて

しまったので、今は伐採を厳しく禁じていると聞いていたのですが、国立公園内ではこのように

して大事に保護されているのですね。(上写真)


営業休止中の食堂


 正午過ぎだったので食事をと思ったのですが、駐車場には僕の車が一台あるだけで誰もいません。

ウロウロしていると、レストランの看板(注)が駐車場の片隅に見え隠れしています。(上写真)


   
(注)店名:クルア・プラタン・ヒウ (意味合い:ひもじさを満たす台所)


 ところが、中を覘いても従業員の姿はなく、どうもかなり以前から営業を停止しているような感じです。

空き腹の僕にとっては、『ひもじさを満たす台所』どころか、尚一層の『ひもじさ』をかき立てる様な店名

の看板です。


 誰一人としていない食堂に足を踏み入れると、従業員ならぬ多種多様な南国の花が僕を向かい入れ

てくれました。ひもじさを我慢しながら、一つ一つの花を観賞させて貰ったのですが、本日は、タイ語名で

『ハヌマーンの腰掛』と呼ばれている花木を御紹介したいと思います。 (下写真)


タイ語名:ハヌマーンの腰掛、英名:Australian Bottle Plant


 タイ名『ハヌマーンの腰掛』は、豪州では『ボトル・プラント』、植物分類上の学名は、Jatropha

Podaglica 、日本では『サンゴアブラギリ』(珊瑚油桐)と呼ばれています。  花木の命名は、

花木のどの部分に注目するかという国別の違いが出ていてとても面白いと思います。


成長するにつれて、三枚から五枚へと裂ける大きな葉


 日本名の『サンゴアブラギリ』の由来は、この花の咲き方である集散花序、つまり最初の花が枝先

に付くと、その直下に側枝が延びて小さな花が次々と咲く様子を赤い珊瑚に喩えたのでしょうね。


 『 桐 』の由来は、可憐な花に似合わない大きな葉が成長するにつれて五枚の葉に裂ける状態を、

『桐の葉』に喩えたのだと思います。(上写真) 


花が咲き終わると出現する乾性の脂肪の発達した緑色の刮ハ


 集散花序の赤い花が順々に咲き終わると緑色の乾性の脂肪の発達した刮ハが出現し、熟すると

下部が縦列して種子を散布します。『アブラギリ』(油桐)の『油』の由来は、脂肪の多い刮ハに由来

するのだと思います。



乾性の脂肪の発達した刮ハ・・・左下の刮ハが縦裂して破裂寸前です。


 日本語名の別名に、俗称だと思いますが、『 イモサンゴ 』の呼称があるようです。僕の勝手な想像

ですが、いも=芋、ではないでしょうか。刮ハが芋(イモ)に似ているのか、幹の根本の奇妙な形状が

芋(イモ)に似ているのか・・・よく分かりませんが・・・なんとなくそんな気がします。




集散花に咲く小花と乾性の脂肪の発達した刮ハ




花が落ちて乾性の脂肪の刮ハとなり、やがて刮ハも破裂して飛散します。


 タイでは『ハヌマーンの腰掛』(ハヌマン・ナンテンと呼ばれていると先述しました。

ハヌマーンは、インド神話に登場する猿族の一人(匹)ですが、自分の身体の大きさと姿形を変幻自在

に変えることができ、空をも飛ぶことが出来るという強者です。 ヒンドゥー教聖典にある叙事詩

(ラーマーヤナ)では、猿族を率いてラーマ王を助ける戦士として描かれています。



タイ古典文学・ラーマキエンに登場するハヌマーンの元となったヒンドゥー教のヴァナラ(猿族)


 中国では、ハヌマーンが西遊記の孫悟空に変えて描かれていますが、タイではインドのラーマーヤナ

をタイ風に置き直した古典文学・ラーマキエン(ラーマの栄光)の中で、ラーマ王子配下の好色の白猿

(ハヌマーン)として描かれています。 タイの児童文学にも採用されていることから、タイの小学生の間

でもよく知られています。


 タイ語では、この花木の徳利状に膨らんだ奇妙奇天烈な幹の基部に、ハヌマーンが好んで腰掛けた

として、ハヌマーン・ナンテーンと呼ばれています。


タイ名:ハヌマーンの腰掛、英名:Australian Bottle Plant


 豪州では、徳利状の幹が瓶に似ていることから『ボトル・プラント』と呼ばれていますが、植物分類

上の小種名(ギリシャ語)の『 Podaglica 』(意味=大きく膨らんだ)と同じように、両者とも此の花木

の幹の植物分類基部の形状に由来していることが分かります。


 一方、植物学上の学名(Jatropha Podaglica Hook.f.)の Jatropha は、医者(イアントロス)と栄養

(トロフェ)を捩った命名だと記されていますので、その昔は、この花木が栄養的に効用のある花木

であったことが想像できます。


 日本でも『猿の腰かけ』と呼ばれる薬効性の高い植物が人気になったことがありますが、あれは

花木ではなくて担子菌類のキノコ(サルのコシカケ科)だそうですね。


 結局、此の日は、目的の滝を見ることなく、次なる山中の滝を目指して出発しました。





サンゴアブラギリの植物分類上の名前
 科名    Euphorbiaceae  トウダイグサ科
 属名     Jatropha  ヤトロファ属
 種名    Podaglica  意味=大きく膨らんだ
 学名   Jatropha Podaglica Hook.f.  -
 英語名  Australian Bottle Plant  -
 日本名  サンゴアブラギリ  珊瑚油桐
 タイ名  ハヌマンナンテン  ハヌマンの腰掛
 原産地  西インド諸島  中南米
 性状
 常緑小低木  多肉植物





読者の方から頂戴したコメント


hiro-1からのお返しコメント


■そしてお食事はどうされたのでしょう??
ワイワイ
2015-01-15 11:46:01


■ワイワイさん
山中から下って田舎のタイ屋台の辛食になんとかありつけました。
hiro-1 2015-01-15 14:05:46



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