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諸行無常・タイの沙羅の花



HP編集略号sara1.htm

和名: ホウガンボク

英語名:Canonball Tree タイ語名:サーラ・ランカー
改編:2014年5月17日 初稿:2007年2月17日 撮影:アユタヤー ナープラメン寺院


 タイの寺院境内で、季節に関係なく見掛ける花木と言えば、トン・ポーとチュアン・チョム。

そして、運が良ければ、本日の主題である “ トン・サーラ ” にも出合えるかもしれません。

お釈迦様は、トン・ポー(菩提樹)の傍らに座して悟りを得られたことで知られていますね。



樹齢を重ねたトン・ポー(菩提樹)


 チュアン・チョム(下写真)は、寺院の参道や境内に植えられている花木です。

花名の意味は、『 どうぞ観賞して下さい 』ですが、お客様を誘因する縁起の良い花とされ

ています。 我が家にも、一年を通して花を咲かせるチュアン・チョムがあり、多くの小鳥を

呼び寄せてくれます。


 保水力がとても強い花木なので、欧米人からは、Desert Rose(砂漠の薔薇)と呼ばれて

いるようですね。



お客様を誘う縁起のよいチュアン・チョム


 タイの寺院遺跡を巡っていると、見知らぬ花木が多いのに困惑しています。

未知の花木に接すると、出来るだけ花名や意味合いを地元の人に訊ねるのですが、誰も

が花木名に詳しいわけではなく、寺院巡りを重ねるにつれて不明花木が増えています。


 ここ最近、気になる花木がありました。今まで見たことのない奇妙な感じのする花弁と

大きくて丸い果実をつける背の高い木です。





 花弁は桃色と白が混じったどぎつい色合いをした見るからに南国らしい花木なのですが、

人によっては、不気味で毒々しく、不快で奇天烈な花木にしか見えないかもしれませんね。



個性豊かなサーラの花 (沙羅の花)


 此の花を見た若いタイ人が、こともあろうに、外国人の僕に質問を発したのです。


   『
此の花は凄いですね。小父さん、花の名前を是非とも教えて下さい


 寧ろ、外国人の僕が質問したかったのに、これではまったくアベコベというものです。

その質問を傍の詰所で聴いていた尼僧が、呆れた表情を浮かべながら言いました。

   『
貴方は、トン・サーラ を知らないの?  それでも本当にタイ人なの? 』 

優しそうなお顔に似合わず、とっても厳しい口調の尼さんでした。



砲丸のような形状をしたサーラ(沙羅)の果実


 サーラ(沙羅)の花も個性豊かですが、サーラーの果実も負けてはいません。昔の大砲の

弾丸に似ていて、その直径は優に 20cm を超えるものもあります。



沙羅の木 (トン・サーラ) の葉 


 その後、タイ北部ランプーン県のハリプンチャイ寺の裏門の近くで、沙羅の双樹を発見。

標識(下写真)を読むと、『 サーラ・ランカー 』 と 『 サーラ・インデイア 』 と記されています。


  
スリランカ原産の沙羅の木 インド原産の沙羅の木


 『 サーラ・ランカー 』  スリランカ産の沙羅の木
 『 サーラ・インデイア 』  インド産の沙羅の木


 寺男さんらしき人に尋ねると、サーラ・インディアは、現在のタイでは希少だとのこと。

両者の花の違いを見たかったのですが、残念ながら一輪の花も咲いていませんでした。

噂では、サーラ・インディアは白い花が咲くと言うのですが、一度見てみたいものです。


 数ヶ月後、僕の愛犬二匹が眠るバンコクのクロントゥーイナイ寺院に詣でた時、今まで

全く気付かなかったのですが、境内の目立たない場所で沙羅の木を発見。 


 此の沙羅の木がスリランカ系なのか、それともインド系なのかを知りたくて、境内を歩いて

いた数人のタイ人に質問したのですが、誰も御存知ではありませんでした。





 タイ上座部佛教では、お釈迦様は、サーラーの木の傍で生誕され、涅槃に入られた事に

なっています。 涅槃に入られた時、臥床の東西南北に生えていた沙羅の樹が合体して、

一本の白い樹木に合体変化した云々・・・の伝説もあるようです。


 日本の平家物語に、『沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす』とありますが、

平家物語の 『 沙羅の花 』は、サーラ・インディアとは全く異なる 『夏椿の花』 だそうです。


 サーラ・インディアは、どんな色の花を咲かせるのでしょうか。僕にとっては、分からない

ことだらけなの花木なので、もう少し勉強した後に、もう一度書くことにしたいと思います。



この主題に関連するホームページ内の別の記事

タイの沙羅の花は、本当に涅槃の時に咲いた花?  (クリックすると移ります)







読者の方から頂戴したコメント


hiro-1からのお返しコメント


■勉強になります
hiro-1さんの解説、いつも新しい知識を発見することがあり、感心しきりです。トン・サーラの件、初めて知りました。私なんかタイ文字も良く分からないので「東屋」代わりに、この木の下で、休んだのかな?なんて発想です。そういえば、コ・パンガンに、トンサラという地名(船着場)がありますが、関係ないですよね。 確か英語表記だとTONGSALAだったと思います。
w.hitoshi 2007-02-17 13:22:49

 

■w.hitoshiさん
カタカナで表記すると同じになりますネ。正確には、saalaa ならば東屋ですが、saala だと発音も意味も異なってきます。ゴ・バンガンはゴ・サムイの近くの島だと思いますが、船着場の名前が thaaa saalaa なのか、thaa saala なのか僕は行ったことがないので良く分かりません。タイの英語表記はルールが特に定められていないので、戸惑うことが多いですネ。タイ文字で読めば、正確な意味が掴めるのですが・・・一寸面倒でしょうか。
hiro-1 2007-02-18 03:05:26 



■砲丸木
日本では砲丸木(ホウガンボク)、英名ではCannonball Treeと 一般に呼ばれているようです。 私はシンガポールで初めて目にしてビックリしました。本当に変わった木です。最初は宿り木かと思いました。バンコク都内の某大学文学部の学食の脇にもあったのを覚えています。 (ご無沙汰してますが、インテンシブではお世話になりました)
たけし 2007-02-17 13:53:43

 

■たけし さん
吃驚しました。恐らく、過去ログから僕だと分かったのでしょうネ。お元気ですか?懐かしいですネ。今は日本で仕事ですか?M大の後輩女性も日本ですか?砲丸木がC大文学部の食堂脇にあったなんて全く気付きませんでした。機会があったら訪ねてみましょう。
hiro-1 2007-02-18 03:14:50 



■砲丸木
毎回大変面白く勉強させてもらっています。高校時代,無味乾燥の授業で丸暗記させられた平家物語の沙羅双樹の名文、おかげさまでぐんとリアルになりました。 私も気になったので、いろいろサーフィンしたところ、何でも仏にちなんで、3大聖樹があり、仏の生誕したところの聖樹は夢憂樹。砲丸木 (インド菩提樹)は仏が悟りを開いたところの聖樹で、沙羅双樹 は入滅されたときの 聖樹とか。3聖木とも熱帯性 なので、日本では温室で育てても、花が咲くまではいかないとか。 ちなみに日本でいう沙羅の木はつばきに似た 白い花をつける夏椿 (落葉樹)で、昔、間違って、これぞ沙羅双樹 だとおもいこんだのがはじまりとか。 なんだかわかったような、ますますこんがらがってきました。
素人学者 2007-02-18 22:38:29  


■素人学者さん
お釈迦様は過去28人出現したという説があり、聖木もそれぞれ異なっているようです。しかし、通説としては、生誕の聖木は『無憂木』、悟りの聖木は『インド菩提樹』、入滅の聖木は『沙羅双樹』となっているようです。
日本の菩提樹の科名はシナノキ、インドボ菩提樹はクワ科ですので、日本の菩提樹は本物のインド菩提樹とは異なる木のようですネ。入滅の聖木も、沙羅双樹はフタバガキ科ですが、日本の沙羅樹は夏椿木でツバキ科ですのでやはり本物とは異なる木ですネ。三聖木のうち、日本が正しく読み取った木は生誕の聖木の無憂木(アソカ)だけだったようですネ。 僕のBlogでは、生誕の聖木と悟りの聖木を沙羅としました。その理由は、タイ文字で書かれたタイ仏教の文献によると、釈迦は沙羅双樹の木の下で生まれ、沙羅双樹の木の下で入滅されたとあるからです。
hiro-1 2007-02-19 04:26:12 


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