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久しぶりに見た紫有明蔓



HP編集略号suiren1.htm

和名:スイレン(睡蓮)

英語名:Water Lillies タイ語名:ウボン・サイ
改編:2014年12月5日 初稿:2008年3月14日 撮影:タイ各地


 『 スイレン 』 は、漢字で 『 水蓮 』 と書くものだと思い込んでいました。水面上に葉を浮か

べるので水、そして、蓮(ハス)に似た花を咲かせるから 蓮 、従って、『 水 + 蓮 』=水蓮

と書くと単純に思い込んでいたのです。


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スイレンの花と 水面に浮かぶ葉。


 ところが、正解は 『 睡蓮 』でした。 名前の由来を聞いて納得です。

『 午前に咲いて、夜に萎む花 』なので『 睡眠する蓮 』、つまり、『 睡蓮 』 という訳です。

未の刻の午前十時頃に咲くことから、未草 (ヒツジグサ) と呼ばれることもあるようです。


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庶民の家の水瓶 に咲くスイレンの花


 国民の95%以上が仏教徒のタイ国では、 仏教儀式で多用される蓮(ハス)の方が格式

が高いようですが、睡蓮の花も、寺院境内や個人宅の庭池でも栽培されています。


 睡蓮は、欧米諸国で人気のある水生園芸植物だと聞きました。日本よりも早くから欧米

文化を積極的に取り入れてきたタイは、仏教の蓮と 欧米の睡蓮を園芸文化として共存さ

せたのでしょう。



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クロード・モネの描いた 庭池に咲くスイレンの絵


 そう言えば、タイ王室が欧州諸国との関係を深めた時代、仏国の印象派画家の

クロード・モネ (1840-1926)が、睡蓮の連作を描いています。クロード・モネ は、

自宅の庭に日本風の池庭を造って睡蓮を浮かべたのだそうです。


 当時のタイのラーマ5世王は、多くの王侯貴族や王子を、欧州に留学させています。

欧米の水生園芸を生かした庭園造りを見て感動した王侯貴族や王子達は、睡蓮の

球根をタイに持ち帰えり、タイ風の池造りをしたのではないでしょうか。


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 『 睡蓮 』 はスイレン科スイレン属ですが、学名は 『 Nymphaea 』 (ニムファエア) です。

ギリシャ神話に登場する、英雄色を好むの 『 ヘラクルス 』 に弄ばれて捨てられてしまい、

エジプトのナイル川に身を投じた美しい女性名の『 Nympha 』(ニムファ)が語源だとか。


 エジプトでは、ナイル川に咲くスイレンの花を “水の女神” の生まれ代わりだと見做し、

『ナイルの花嫁』と呼んで慈しむと共に、スイレンの花を 『 国花 』 として制定しています。


 ネット検索すると、デンマーク、バングラディシュもスイレンを国花としているようですね。

デンマーク、バングラディシュにも、きっと魅力的な伝説が伝わっていることでしょう。


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 アメリカン・インディアの民話によると、スイレンは、天空から舞い降りて来た 『 星の花 』

と見做されているようです。天空で輝いていた星が、地上の美しい湖畔で遊ぶ可愛い子

供達を好きになり、その場所に移り住みたい一心で、美しい娘に変身して地上に舞い降

りて来ます。  湖面に映る無数の星の仲間を見た彼女は、彼らも湖面に降りて来るように

誘い、舞い降りて来た星の仲間がスイレンになり、湖面を埋め尽くすようになったとか。


 アマゾンの民話に耳を傾けると、小さな村の酋長の子供に 『 ナイア 』 と呼ばれる娘が

いました。 村の掟により、彼女は村一番の勇敢な若者と結婚しなければなりません。しかし、

彼女は、勇敢な若者よりも、夜空に輝く 『 月 』 を愛していました。彼女は湖面にせり出た木に

登り、天空の月に手を思いっきり伸ばします。


 しかし届く筈もなく、失望して湖面を見ると、愛する月が手招きしています。彼女は、誘われる

ようにして、湖面の中の月に向かって我が身を投じます。その後、湖面に彼女の身体の大きさ

程もあるスイレンの大葉が浮かびます。その大葉の傍に、彼女の白い腕に似た睡蓮の白花が

咲くようになったとか。


 花言葉は、世界共通のものではなく、地域の文化によって育まれるようです。睡蓮の花言葉

には、『心の純血』、『純情』、『信頼』、『信仰』等がありますが、その根底には、どれも優しい心

が包含されているような・・・そんな気がします。



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読者の方から頂戴したコメント

hiro-1からのお返しのコメント

■睡蓮
そうなんだ〜と思ったら、変換で睡蓮って出てきました。
アメリカンコッカーラブ 2008-03-14 07:37:59


■アメリカンコッカーラブさん
最初は変換で出て来た睡蓮を、態々水蓮と打ち直してしまいました。
hiro-1 2008-03-15 04:24:02


■なるほど〜
睡れん、、、面白い名前と思いましたが、ちゃんとその花の特性から付けられた由緒正しいお名前なんですね
ドクターみどり 2008-03-14 08:31:34 


■ドクターみどりさん
誰が付けたのか、上手いこと名付けをするものですね。
hiro-1 2008-03-15 04:26:04 


■そうだったのかぁ。
私も水蓮かと思っていました。だって、水の上に咲くイメージだから。なるほど、睡蓮なんですね。勉強になりました!(^∇^)
Keiko 2008-03-14 12:15:22


■keikoさん
英語に影響されて、『水ユリ』という陳腐な名前にされなくて良かった!
hiro-1 2008-03-15 04:29:36 


■改めて
昔の人達の想像力の豊かさを思い知らされます。
bairin24 2008-03-14 12:59:55


■bairinさん
昔の日本人のセンスの良さを感じますね。
hiro-1 2008-03-15 04:30:51 


■睡蓮の根?
レンコン掘りは腰まで泥につかって掘るようですが、ハスと思っていた睡蓮は水にプカプカ浮いていて、どうやってレンコンができるのかなと思ってました。睡蓮の花の微妙に変化する色が綺麗ですね。
架空説探索者 2008-03-14 13:14:09 


■架空説探索者さん
蓮根は蓮の根ですが、睡蓮の根は如何なっているのでしょうね。
hiro-1 2008-03-15 04:35:05

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