HP開設の御挨拶

自己紹介

主題名別の目次 (年月日順)

花木名別の目次

トップページ


asd

 
HP編集略号teak1.htm

和名:チーク


英名:Teak


タイ名:マイサック

改編:2017年6月10日  初稿:2013年11月8日 撮影:バンコク


  バンコク郊外の王妃公園に出かけた折に、世界の三大銘木に仲間入りしている高級木材

のチークの木を見ました。タイでは『マイサック』と呼ばれています。 チークは、東南アジアを

中心とする熱帯気候帯に分布している高さ40m前後になる大木ですが、雨季に入ると落葉す

るという熱帯樹林としては珍しい木のようです。 聞くところによれば、円錐花序の花が高木を

埋めつくすように咲く時期があるらしいのですが、まだ見たことがありません。いつの日かそん

な光景を見てみたいものです。


王妃公園内のチークだけを植栽してたエリア


  その昔、ビルマを植民地としていた英国は、チークを本国に大量に送って高級家具を

製作、莫大な利益を得ていたと聞きます。


  タイでは、チークの木の強靭性と耐久性を生かして、王宮の建築材として使われていま

した。 1902年にバンコクで建設されラーマ5世のウイマンメーク宮殿は、総チーク造りの

3階建ての建物として、現在も大事に保存されています。(下写真)


バンコクのドゥスィット地区に残るラーマ5世の記念博物館
(1902年:ラーマ5世の別荘として建設)



  江戸時代の初期(徳川家康、秀忠、家光)、日本とインドシナ半島やタイのアユタヤーとの

間を行き来した外洋帆船の朱印船があったことは広く知られています。 材質が強靭で耐久性

があり、水に強い天然の油成分を含み、乾燥しても伸縮率が小さく、病害虫にも強く、加工も容

易、更に船価コストも安価なアユタヤーのチーク材で造船された『 暹羅船 』(シャム船)を競って

購入した時期があったようです。(下写真)


日本の豪商がアユタヤー王朝に造船発注したチーク材のシャム船


  チークは、江戸時代初期の『 暹羅船 』(シャム船)だけではなく、近世になって登場する

鋼鉄船舶の内装材としても盛んに利用されていました。 英国の誇るクイーン・エリザベス

2号の客室、高級船員のキャビン、そして船橋(ブリッジ)にも、ふんだんにチーク材が使用

されていると聞きます。


  その昔は、総チーク造りの贅沢な別荘、チーク材の家具、品質の高い船舶などが幅を

利かしていたわけですが、最近は乱伐による品薄も重なって値段も高価になってしまったこ

とから、チーク材を薄くスライスして他の材質の表面に化粧板として貼り付ける突板工法が

主流になっているようですね。


  換金効果の高いチークの木の乱伐が続いて禿山だらけになってしまったタイでは、一時

期、国家的な政策として、成長の遅いチークの木に代えて、成長がとびきり早いユーカリの

植栽が北部や東北部の至る所で行われたことがありました。 しかし、成長の早いユーカリ

の木は、それでなくても栄養分の乏しかった土地を更に疲弊させることが分かり、今では、

チークの木(タイ名:マイサック)に植え変えられています。更に、チークの木の伐採を禁じる

法律も1990年代に制定されたようです。


  さて、チーク材のことは此の程度にして、チークの木の葉について注目してみたいと思い

ます。40cm以上もある大きな葉を持つ落葉樹なので、街路樹としては全く不向きと言えます

が、王妃公園内に、その用途の一つが分かる展示物が設けられていました。


タイ北部の高地民族の住居
  王妃公園内に植栽されたチークの木の真下に、チークの葉を屋根材として利用したタイ北部

の高地民族の生活が窺い知れる小さな住居がありました。(下写真)



チークの枯れ葉を屋根材にした高地民族の住居


  説明看板のタイトルを読めば、この住居が高地民族のものであることは一目瞭然なの

ですが、チベット系のムースー族
、ビルマ系のリス族などの民族の住居との違いを理解す

るには、タイ文字の説明板を真面目に読まなければなりません。 生来の怠け癖もあって、

ついついスルーしてしまいました。



タイ北部の高地民族の住居内の様子


  タイ高地民族の住居内の屋根と壁は、竹材で組まれて風通しが良さそうです。屋根には

、野地板代わりの竹材の上に、チークの木の枯れ葉が敷かれていて雨水を防いでいるので

すが、強い風が吹くと、枯れ葉が擦れ合うガサガサ音が気になるかも・・・・




  チークの木の緑葉は縦方向の長さが50cm以上もありますが、枯葉になると少し萎んで

小さくなるようですね。 それでも、足元に落ちていた枯れ葉の大きさは、僕の足のサイズ

25.5cm)の2倍以上はありました。(上写真)



  資料を調べると、隣国のミャンマー(タイ語:パーマー)では、生花の輸送用の包装材とし

て、チークの葉を多用するようですが、浅学寡聞の僕は、タイでも同じような風習があるのか

どうかさっぱり分かりません。



 チークの葉の建物は、王様プロジェクトによる仕事のようです。


  枯れが進んで厚みの増したチークの葉の屋根を持つ説明板の一つに目を向けると、

次のような記述がありました。(上写真)


     『王様のお考えにそった大森林内の小屋造りのプロジェクト』

        チェンマイ県 メーアーイ郡 ファー・ホムポック山 


看板には『 ファー・ホムポック山 』と書かれているのですが、手持ちの地図で場所を調べる

と『 パー・ホムポック山 』と記されています。 現場の山頂で撮られた写真を見ると、

『 ファー 』(意味:空)もあれば、『 パー 』(意味:布)もあります。 二種類の呼称があるよう

です。


  チェンマイ県メーアーイ郡は、ミャンマーと国境を接するタイ北部の山中にある秘境の

ような所のようです。チークの葉を利用するのは、チークが多いミャンマーとタイの間に連な

る山岳地の少数高地民族に共通する風習なのかもしれませんね。


  機会があれば、チークの円錐花序の花が咲く時期に、『 ファー・ホムポック山 』を是非

とも訪れてみたいものです。


チークノキの植物学上の分類名
 学名  Tectona grandis L.f.
 科名  Labiatae  クマツズラ科
 属名   −
 種名   −
 タイ名   −
 英名  Teak
 日本名  チークノキ (チークの木)
 漢名   −
 性状   −
 原産地   − 
 花言葉   − 



 

読者の方から頂戴したコメント


hiro-1からのお返しコメント


■なるほど
1995年バンコクの東京銀行の改装の時、家具や内装にチークを結構使いました。その時はまだ日本と比べればかなり安かったですが、手に入りにくくなっていると言う話は聞いていました。
そういう事情だったのですね。勉強になりました。
吉谷利一 2013-11-08 21:45:45


■吉谷利一さん
その当時、日系の建設会社が建てた僕のコンドー(今も住んでいます)の床材と内装飾りもチーク材です。日本人設計者の話によると、今後はチーク材を使うコンドーは極めて希になるだろうと言われていました。
hiro-1 2013-11-09 01:11:47  


■チーク
もうタイでは入手困難と聞きました。何年か前、チェンマイから少し離れたハンドンという町に行ったとがあります。すばらしい木彫りを集めた博物館のようなところや、家具屋が林立しているエリアがありました。あれはチークを扱っていたのでしょうかね。
kii 2013-11-09 00:30:16


 


■kiiさん
チェンマイ効外のハンドンは僕も二回ばかり訪れました。在庫のチーク材で作った作品や製品がたくさんありましたね。
hiro-1 2013-11-09 01:16:57



inserted by FC2 system