バンコク郊外のタイ政府合同庁舎内の入国管理事務所に出向くときは、いつもは本館
の裏側にある駐車場ビルから入るのですが、この日は久し振りに本館の正面玄関から入
ってみることにしました。
正面玄関には大きな車寄せがあって、玄関に通じる車道に沿って約3mの背丈の緑色
の植え込みが茂っています。以前は未成熟の低木ばかりだったので気にもしていなかった
のですが、風にゆっくりと靡く大きな葉柄は、目立つような模様こそありませんが、あきらか
にカラテア属の種類だと思われます。(下写真)
|
近づいてみると、数ケ月前にチャトチャの王妃様の名前を冠した公園で見たカラテア・
ルテア(英語名:Cigar Calatea)の葉柄とそっくりです。互い違いに広がった披針形の葉の
長さは50cm前後はあります。
|
更に近づいて大きな披針形の葉の下を覗きこむと、カラテア・ルテアの葉巻に似た
Cigar Calateaとは全く異なった幅広の穂状のようなものが幾本も垂直に伸びています。
まるで黄色い百足(ムカデ)のような形状をしていますが、このようなカラテアは今まで見た
ことがありません。
|
Cigar Calatea とは異なる百足のような苞葉が見えます。 |
大きな葉柄の茎とは別の茎頂に、長さ 25cm-30cm の穂状の黄色い苞葉(Bracts)が
行儀良く二列に互生しています。 見れば見るほど百足(ムカデ)に似ています。 近くで
植え込みの手入れをしていたタイ人業者に聞いてみました。
彼 『 植物の名前? khlaa takhaap thoon だよ 』
タイ語名の意味は、『 クズウコン科の黄金色をしたムカデ 』 だそうですが、彼の説明に
よれば、黄色の部分は花ではなく苞葉だそうです。 黄色の他にも、赤色、茶色、緑色、
白色の苞葉もあるとのことでした。 |
英語の通称名は、Rattle Snake (ガラガラ蛇) |
苞葉と苞葉の間から直径2cmにも満たない非対称の黄色い小花を咲かせるそうです
が、この時は全て枯れてダラリとぶら下がっていました。(上写真)
業者 『 もう少し早く来れば、小花が咲いていたのに、惜しかったね
』
バンコクの自宅に戻ってから、ネットで植物学上の分類名を調べてみました。
種名の Calathea の語源は、ラテン語の 『 手篭 』 。黄色い苞葉の咲き方が手篭から
はみ出て居るように見えることから名付けられたようです。 種小名の Crotalifera は、
擬音語のガラガラ音、つまり、ガラガラ蛇の擬音語が語源のようです。
同じ苞葉を見ても、『ムカデ』に見える人、『ガラガラ蛇』に見える人、『手籠』に見える人
、はたまた、『カクテル・シェーカー』に見える人もいるらしく・・・まさに人それぞれです。 |
Calathea crotaliferaの植物学上の分類名 |
学名 |
Calathea crotalifera |
科名 |
クズウコン科 Marantaceae |
属名 |
カラテア属 Calathea G. Mey. ? calathea |
種名 |
Calathea crotalifera S. Watson ? rattlesnake |
タイ名 |
khlaa takhaap thoon |
英名 |
Calathea crotalifera 'Yellow Rattle'
通称名: Rattlesnake Plant, Rattle Shaker, Yellow rattle shaker |
日本名 |
− |
漢名 |
− |
原産地 |
Mexico, Central America, South America |
花言葉 |
− |
|